近年、企業が自社商品・サービスの売上拡大を目的にIPビジネスを実施するケースが見受けられます。一方で「そもそもIPビジネスとは?」「IPビジネスって本当に成果が出るのか?」と疑問に思うかもしれません。本記事では、IPビジネスの概要から、具体的な手法、メリット、成功事例を紹介します。IPビジネスの実施を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。IPビジネスとはIPビジネスとは、アニメ作品のキャラクターや企業の独自技術といった「知的財産(IP)」を活用して、収益を生み出すビジネスモデルです。IPとは「知的財産(Intellectual Property)」の略で、発明やデザイン、著作物など、人間の創作活動から生まれた形のない資産を指します。具体的には以下のようなものが挙げられます。著作権:アニメ作品やゲームのキャラクター商標権:ブランドロゴ特許権:企業独自の技術ノウハウ などIPビジネスでは、IPの権利を他社に貸し出してロイヤルティを得たり、自社で複数のメディア展開したりすることで、ひとつの資産から大きな利益を生み出せます。IPビジネスの手法IPビジネスの手法として、主に以下の4種類が挙げられます。コンテンツ販売・配信ライセンス販売コンサルティング提供他社IPと自社サービスのコラボそれぞれの概要や該当する具体的なビジネスモデルについて解説します。コンテンツ販売・配信コンテンツ販売・配信とは、自社が持つIPを活用して制作したアニメやゲームなどの作品を、ファンに直接販売・配信して収益を得る手法です。ファンに愛されるIPがひとつでも生み出せれば、インターネットを介して世界中のユーザーにコンテンツを届けられます。ゲーム・映画・配信サービスなど、メディアをまたいで展開できることも、収益の多様化につながります。たとえば、『ポケットモンスター』のゲーム販売や『鬼滅の刃』の劇場版映画などが、コンテンツ販売・配信の具体例として挙げられます。ライセンス販売ライセンス販売とは、自社が持つキャラクターやロゴなどの使用権を他社に貸し出し、その対価としてロイヤルティ(使用料)を得る手法です。使用権を借りた会社側で製品を製造、管理するため、ライセンス元は製造コストや在庫リスクを抱えずに収益化できるのが利点です。契約時は売上の3〜10%程度を得るロイヤルティに加え、売上に関わらず支払われる「最低保証金(ギャランティ)」を設定することで、安定した収益構造を設計できます。アニメキャラクターがデザインされたお菓子の販売や、アパレルブランドと人気ゲームのコラボTシャツなどが、ライセンス販売の具体例として挙げられます。コンサルティング提供コンサルティング提供とは、自社が持つキャラクターやコンテンツの活用ノウハウを活かし、他社のIPビジネスの戦略立案や実務運用を支援する手法です。「どうすればIPの魅力を最大化してビジネスを成功させられるか」という深い部分まで踏み込んで、企業のIPビジネスをサポートします。具体的には、以下のような支援を行います。IPコラボ商品を開発する際のコンセプト設計ファンの心を掴むプロモーション施策の企画立案IPの世界観を壊さないための監修・運用体制の構築支援 など他社IPと自社サービスのコラボ他社IPとのコラボは、既に知名度や人気のある他社のキャラクターや作品の力を借りて、自社の商品やサービスの魅力を訴求する手法です。IPを有する会社とライセンス契約を結んでIPの使用権を得て、自社の商品やサービスとコラボします。自社でゼロからキャラクターを育てる時間やコストを抑えられるのが利点です。また、コラボIPが持つファン層へ、自社の商品やサービスをアプローチできるのも大きな特徴です。他社IPと自社サービスでコラボする施策として、以下のようなものが挙げられます。スマホゲームが人気アニメと期間限定コラボイベントの開催飲食チェーンが漫画とコラボした限定メニューの提供 など自社IPでIPビジネスを実施するメリット自社IPでIPビジネスを実施するメリットとして、以下が挙げられます。継続的な収益源を確保できるひとつのIPで多角的なビジネスを展開できる顧客から愛着を抱かれるようになる自社でIPを育てるのは大きな労力と予算、時間がかかります。自社IPのメリットを押さえて、自社の経営戦略に自社IPが必要なのか判別するのが大切です。継続的な収益源を確保できる自社IPを活用してIPビジネスを実施することで、長期にわたって安定した収益基盤を構築できます。一度ヒットしたIPは熱量の高いファンを抱えられるため、グッズ販売やイベントなど、複数のチャネルから継続的に収益を生み出せるようになります。また、自社で権利を100%保有していれば、ライセンス供与を活用してロイヤルティ収入を得ることも可能です。ひとつのIPで多角的なビジネスを展開できるひとつのIPでグッズ化やアニメ化など、多角的なビジネスを展開でき、複数の収益源を同時に構築できるのも、自社IPを活用したIPビジネスの利点です。一般的に、ゼロから新しい商品やサービスを立ち上げるには、認知度を高めるためのプロモーション費用と時間がかかります。自社のIPを活用すれば、異なる業種やメディアに展開する際も、既存のファン層をスムーズに引き込むことができます。顧客から愛着を抱かれるようになる独自のキャラクターや世界観を通じて、顧客から愛着や信頼を得られ、企業のブランディングが向上するのも自社IPの利点です。商品の機能や価格だけで差別化を図るマーケティングは、他社との差別化が困難になります。自社IPを活用したIPビジネスならば、IPのファン層が「推しの商品だから欲しい」という感情的な価値を感じられるようになります。他社IPとコラボしてIPビジネスを実施するメリット他社IPとコラボしてIPビジネスを実施するメリットとして以下が挙げられます。新規顧客層を獲得できる高い話題性を創出できるブランドイメージを転換できる自社IPにはない、他社IPとのコラボによる独自の利点を解説します。新規顧客層を獲得できる他社IPとコラボすることで、そのIPが持つファン層へアプローチでき、自社だけではリーチできなかった新規顧客層を獲得できます。従来のマーケティングを行っているだけでは、獲得できる顧客層には限界があります。他社IPとコラボしてIPビジネスを実施することで、作品を愛するファンが「推し」をきっかけに自社商品を手に取る動機が生まれ、一気に認知を広げることが可能です。「従来の広告だけでは認知拡大に限界を感じている」という場合は、他社IPとのコラボを検討しましょう。高い話題性を創出できる他社IPとコラボして、限定商品やプロモーションなどの施策を実施することで、SNSを中心に大きな話題性を生み、PR効果を最大化できます。施策が魅力的なものであれば、IPのファンコミュニティが活性化し、いいねやリポストなどのユーザーによる自発的な拡散を引き起こすことができます。熱心なファンが「推し」の情報を自発的にシェア・拡散してくれるため、より多くのユーザーにリーチできるでしょう。「SNSでの拡散力に期待している」「短期間で一気にブランドの注目度を高めたい」という場合にも、他社IPとのコラボは有力です。ブランドイメージを転換できる他社IPとのコラボにより、ブランドイメージを転換できるのも魅力です。一般的に、歴史のあるブランドほど既存のイメージが定着し、若年層の取り込みや新規開拓に苦戦する傾向があります。他社IPとコラボしてIPビジネスを実施することで、そのIPが持つ世界観や魅力を自社サービスに取り入れ、既存のイメージを払拭できるでしょう。「若年層をはじめ、これまでとは異なる新しいターゲット層へブランドを浸透させたい」という場合は、他社IPとのコラボした施策の実施がおすすめです。他社IPとコラボしてIPビジネスを成功させた事例他社IPとのコラボによりIPビジネスを成功させた事例を紹介します。これからIPを活用した施策の実施を検討している方は、これらの成功事例を参考にしてください。ファンの支持を集め、前回比で3.6倍のエントリーを実現NTTドコモのd払いは、サンリオのキャラクターユニット「はぴだんぶい」とのコラボキャンペーンを実施し、これまで接点のなかった若年層ユーザーの獲得に成功しました。同社ではキャッシュレス決済に硬いイメージが定着していることを課題としており、利用開始時の心理的ハードルを解消する必要があると考えていました。そこで、ユーザーが自然と使ってみたくなるきっかけを生み出すために、IPキャラクターとのコラボ施策を実施しました。具体的には、d払い利用者を対象に、抽選で限定ぬいぐるみが当たるキャンペーンを実施しました。これにより、若年層のファンに対し「好きなキャラクターが関わっているから使ってみたい」というポジティブな動機を生み出すことに成功しました。定量的なデータとしては、前回比3.6倍のエントリーを獲得。SNSでも大きな反響を呼び、従来はサービスに興味を示していなかった層との新たな接点を生み出しました。関連記事:前回比3.6倍のエントリーを獲得!ドコモ「d払い」とサンリオ「はぴだんぶい」のコラボが多くのファンの心を掴んだ理由IPタイアップにより、TVCMだけではリーチできない層にも訴求リクルートの「ホットペッパービューティー」では、人気漫画『こどものおもちゃ』とのコラボを通じて、TVCMのみではリーチできなかった層へアプローチしました。これまではTVCMで機能的な利便性を伝えるマーケティングを実施していたものの、サービスの浸透に伴い、機能の訴求だけでは限界が見え始めていました。そこで、サービスに親近感を持ってもらうためにIP作品とのコラボ施策を実施。人気漫画『こどものおもちゃ』と連携した施策を実施しました。施策では、キャラクターの髪型を題材に「髪型を変えることで気持ちを上向かせる」情緒的な価値をもとにしたストーリーを発信。作品のファンに「自分も髪型を変えてみようかな」「ホットペッパービューティーを使ってみようかな」と思ってもらえるような導線を作りました。施策はSNSでトレンド入りするほど大きな反響を呼び、ユーザーのサービス利用を後押しする効果的な施策となりました。関連記事:ブランド施策の主力へ──“人気に乗っかるだけじゃない”IPタイアップ”でブランド好意を生み出すホットペッパービューティーIPコラボにより、新たな顧客需要を生み出すことに成功JR東海は観光キャンペーン「推し旅」を展開し、アニメ作品などのIPと年間約100件に及ぶコラボを実施することで、新幹線旅行の新たな需要を生み出しました。コロナ禍の影響により、それまで中心だったビジネス需要が急減した同社では、単に移動の利便性をアピールするだけでは新規顧客の取り込みが難しくなっていました。そこで、アニメファンの高い熱量に着目し、『ジョジョの奇妙な冒険』などの人気IPとコラボした限定グッズ付きの体験型企画を展開。多くのユーザーが「推し活を楽しむ旅行」として新幹線を利用するようになりました。この施策により、ファンがフォトスポットで撮影した写真をSNSに投稿するなど、キャンペーンは大きな盛り上がりを見せ、新たな需要の創出に成功しました。関連記事:新幹線利用者を増やす秘訣は「作品に寄り添うこと」年間100件のIPとコラボするJR東海「推し旅」企業がIPビジネスを実施する際の注意点企業がIPビジネスを実施する際の注意点として、以下が挙げられます。新規IPの育成と定着に時間がかかる自社IPの管理には労力がかかる他社IPとコラボする際は、ターゲット層を確認するIPビジネスが失敗しないためには、これらの要点を押さえておくのも大切です。新規IPの育成と定着に時間がかかる自社IPでIPビジネスを実施する際には、新規IPの育成と定着に長い期間を要します。キャラクターやコンテンツの認知度を高めてファン層を拡大し、実際のビジネスにつなげるまでには、数年単位の長期的な投資が不可欠です。そのため、自社IPでIPビジネスを行う際には、数年スパンの長期的な育成戦略を立てましょう。SNSでの定期的な発信や小規模なファンコミュニティの形成など、コストを抑えつつ持続的にファンと接点を持ち続けるのが大切です。自社IPの管理には労力がかかる自社でIPを保有する場合、著作権の管理やブランドイメージの維持などに多大な労力がかかります。IPの展開が増えるほど、不正利用の監視や契約の締結、デザインチェックといった管理業務の手間が急増します。もし、適切な管理が実施されていなければ、海賊版が出回って利益を損なったり、イメージに合わない使われ方をされてブランド価値が損なわれたりする可能性もあります。そのため、自社IPでIPビジネスを行う際には、事前に専用の管理チームを立ち上げたり、管理を効率化するシステムを導入したりして、運用体制を整えましょう。他社IPとコラボする際は、ターゲット層を確認する他社IPとコラボする際は、自社商品と相手IPのターゲット層が一致しているかを事前に確認しておきましょう。他社IPとのコラボを成功させるには、IPのファン層に刺さる施策が不可欠であり、前提として自社商品とターゲット層がかみ合っている必要があります。もし、ターゲット層にズレが生じていると、いくら人気のIPとコラボしても、自社商品の購入には繋がらず、認知拡大や売上増加などの効果を得られません。そのため、他社IPとコラボしてIPビジネスを行う際には、ファンの属性や行動パターン、購買傾向までリサーチし、自社と親和性の高いIPを選ぶようにしましょう。まとめIPビジネスは、キャラクター・作品・ブランドなどのIPを活用して、収益を生み出すビジネスモデルです。自社IPを活用する場合は、コンテンツ販売・ライセンス展開・コンサルティング提供など多角的な収益につなげられるのが利点です。一方、他社IPとのコラボでは、IPが既に抱えているファン層へ効率的にアプローチできるため、新規顧客獲得や話題化を狙えます。自社でIPを有していない企業ならば、自社商品やサービスを訴求するために、他社IPとのコラボを検討するとよいでしょう。FANDOM AGENTは、IPを活用した商品やサービスのプロモーションを、企画段階から運営までトータルでサポートしています。IPビジネスの実施を検討しているものの、具体的なコラボ先や進め方が気になる方は、以下よりお問い合わせください。お問い合わせはこちら