昨今、アイドルやアーティスト、アニメキャラクターなどとコラボをし、自社の商品やサービスをファンに訴求する「推し活マーケティング」を実施する企業が見受けられます。一方で「なぜ推し活マーケティングを実施するのか」「従来のマーケティングとの違いは何なのか」と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、推し活マーケティングの概要や従来のマーケティングとの違い、注目される理由、成功事例などを解説します。推し活マーケティングとは?推し活マーケティングとは、特定のキャラクターやアイドルなどを熱烈に応援する「推し活」の心理や行動を活用したマーケティング手法です。従来のマーケティングは、商品のスペックや価格といった機能的な価値を重視しています。一方、推し活マーケティングでは、「推しを応援したい」という情緒的な価値に訴求するのが特徴です。具体的には、以下のような施策が挙げられます。人気キャラクターとの限定コラボ商品の開発「ぬい撮り」を楽しめるフォトスポットの提供推しを身近に感じられるリアルイベントの開催以下の記事では、アニメのキャラクターやタレントといった、既存のIPを活用したマーケティング手法についても解説しています。関連記事:IPマーケティングとは?注目される理由やメリットを紹介推し活マーケティングが注目される理由推し活マーケティングが注目される理由として、以下が挙げられます。市場規模が拡大を続けている「好き」という感情が消費の意思決定となっているSNSでの自然な拡散が期待できる市場規模が拡大を続けている企業が推し活マーケティングに着目する理由のひとつが、推し活の市場規模の拡大です。推し活は、かつては一部の熱狂的なファンによるものと考えられていましたが、現在では若年層を中心に全世代に広がっています。株式会社CDGが実施したアンケート調査によると、2026年時点で推し活人口は約1940万人を超え、市場規模は約4兆円です。物価高や円安をはじめ、消費が伸び悩む現代において、購買意欲が高い市場として注目されています。参考:推し活人口2000万人へ!市場規模は4.1兆円に! 第3回 推し活実態アンケート調査結果を公式noteで公開。|PR Times以下の記事では、キャラクターマーケティングの効果について解説しています。関連記事:キャラクターマーケティングの3つの効果と成功事例を紹介「好き」という感情が消費の意思決定となっている昨今では、消費者の「好き」という感情が購入の決め手となるケースが増えています。現代はネットやECの普及により、誰もが膨大な商品に触れ、比較検討が可能です。消費者に選ばれるためには、スペックや利便性だけでは差別化が困難となっています。これにより、「推しが勧めているから」「推しを応援したいから」というファン心理が、購買における動機として注目されているのです。SNSでの自然な拡散が期待できるファンによるSNSでの自然な拡散が期待できるのも、推し活マーケティングが注目される理由のひとつです。ファンは、「推しの魅力を広めたい」「同じ熱量の仲間と推しについて共感したい」という心理をもっています。そのため、ファンの心を掴む企画や施策を実施できれば、「いいね」や「リポスト」などの行動が自然と発生します。その結果、莫大な広告をかけずとも、より多くの人に自社の商材が目に留まる状態を作ることができ、認知拡大につながる点が、推し活マーケティングの特徴のひとつです。推し活マーケティングを実施するステップ推し活マーケティングを検討するには、以下の手順で実施するのがおすすめです。推しとブランドの接点を言語化するファン層の熱量と自社ターゲットの重なりを確認するファンが「参加したい」と感じる施策を設計する拡散の起点となる体験・限定性を組み込むファンの反応をもとに施策を改善する1.推しとブランドの接点を言語化するブランドや商品と「推し」の間に、共通するストーリーや共通点を発見し、施策に落とし込むことが必要です。関係性の見えないコラボは、ファンを困惑させてしまい購買にはつながりません。「安易なコラボ」と受け取られてしまうと、ブランドに嫌悪感を抱かれる恐れもあります。そのため、キャスティングする推しの性格や世界観、好み、ライフスタイルなどをリサーチ・分析し、ブランドとの接点を言語化した上でコラボを設計します。2.ファン層の熱量と自社ターゲットの重なりを確認する自社商品のターゲット層と、コラボする推しのファン層がマッチしているかの分析も大切です。どれだけ熱狂的なファンを抱えていたとしても、自社商品とファン層がズレていれば購買にはつながりません。たとえば、高価格の美容液を販売したい場合、ファン層が中高生メインの推しとコラボしても、期待する効果は得られないでしょう。SNSの分析ツールや市場調査データを用い、ファンの年齢や性別に加え、どのような消費行動をとっているのかも確認します。以下の記事では、企業とVTuberのコラボについて詳しく解説しています。自社の商品やサービスとVTuberをコラボさせたいと考えている方は参考にしてください。関連記事:企業のVTuberコラボ実施事例は?施策の実現方法や効果を高めるポイントを解説3.ファンが「参加したい」と感じる施策を設計するファンが能動的に楽しめるような企画を設計します。推し活の醍醐味は、ファン自身の能動的な応援や表現活動を後押しする体験の設計です。「自分も推しの活動に貢献できた」「仲間と盛り上がれた」というリアルな参加体験が伴うことで、購買や自発的な拡散といったエンゲージメントが生まれる可能性が高まります。たとえば、以下のような、ファンが自分から参加できるような施策が有効です。SNSでのハッシュタグキャンペーン自分好みにアレンジできるカスタムグッズの展開推しのぬいぐるみやアクリルスタンドなどを撮影できる「フォトスポット」の設置 など4.拡散の起点となる体験・限定性を組み込むファンが思わずSNSでシェアしたくなるような、特別な体験や限定性を施策に組み込みましょう。「今、ここに行かないと見られない」「今回の施策以外では買えない」という限定性は、ファンの行動を強く促し、購買や拡散を生み出します。具体的には、以下のような施策が有効です。描き下ろしイラストを使用した限定パッケージポップアップストアでの限定展示5.ファンの反応をもとに施策を改善する施策中から終了後にかけてファンの声やデータを集め、課題を改善しましょう。推し活をする層は、熱量が高くエンゲージメントにつながりやすい反面、運営の不手際やファンの気持ちに寄り添わない対応があると、不満につながりやすい傾向があります。ネガティブな反応も収集して改善することで、ファンからの信頼を獲得できれば、次回以降の施策の成果につながるでしょう。たとえば、キャンペーン開始直後からSNSの反響をリアルタイムでモニタリングするのがおすすめです。「転売対策への不満」や「サーバーダウンなどのトラブル」がないかを細かくチェックしましょう。推し活マーケティングを実施する際のポイント推し活マーケティングを成功させるうえで大切なポイントは、以下のとおりです。「推し」が主役の施策を立案するファンの文化・世界観への理解を施策に反映する「推し」が主役の施策を立案する推し活マーケティングの施策を立案する際には、自社商品ではなく「推し」を徹底的に主役に据えるのが大切です。ファンは自分の推しが大切に扱われているかどうかに敏感です。そのため、「商品を売りたい」という企業側の思惑に推しが利用されているように見えてしまう施策では、ファンに敬遠されてしまいます。具体的には、商品の売上の一部が推しの活動に還元される仕組みを作ったり、推しの新しい魅力を引き出すような限定コラボ企画を設計したりするのが効果的です。ファンの文化・世界観への理解を施策に反映するファンの文化や世界観を徹底的にリサーチし、施策に反映させましょう。どれほど予算を投じたキャンペーンであっても、ファンの関心に沿っていなかったり、推しへの理解が浅かったりすると、ファンからの反応は冷ややかになってしまいます。SNSやコンテンツをリサーチし、以下のような項目について理解しておくのがおすすめです。グループ内で人気の組み合わせファンに愛されているエピソード各キャラクターやメンバーの推し色 など推し活マーケティングの成功事例ここでは、推し活マーケティングの成功事例を3つ紹介します。以下の記事でもIPビジネスの成功事例について解説しています。アニメや漫画とのコラボを検討している方は、参考にしてください。関連記事:IPビジネスとは?成功事例や具体的な手法、メリットを解説 ファンの心を掴んだ施策で、前回比3.6倍のエントリーを獲得NTTドコモのd払いはサンリオのキャラクターユニット「はぴだんぶい」と連携したキャンペーンにより、アプローチできていなかった若年層の取り込みに成功しました。キャッシュレス決済に対する硬いイメージがユーザーに浸透している点が課題となっており、利用開始のハードルを下げる必要があると考えていました。そこで、ユーザーがサービスを利用するきっかけを生み出すために、推し活マーケティングを実施。具体的には、d払い利用者を対象に、限定ぬいぐるみが抽選で当たるキャンペーンを展開しました。その結果、若年層のファンに「好きなキャラクターが関わっているから使ってみたい」という利用動機を喚起することに成功しました。この施策によって、前回比3.6倍のエントリーを獲得。SNSでも大きな反響を呼び、これまでサービスに関心をもっていなかった層との新たな接点を生み出しました。関連記事:前回比3.6倍のエントリーを獲得!ドコモ「d払い」とサンリオ「はぴだんぶい」のコラボが多くのファンの心を掴んだ理由「推し活」を後押しする施策で、新規需要を創出JR東海は観光キャンペーン「推し旅」を展開。アニメをはじめとするIPとのコラボレーションを年間約100件実施することで、新幹線利用による旅行需要の創出に成功しました。同社はコロナ禍によって従来の中心顧客であったビジネス利用者が急減し、単に移動手段としての利便性をアピールするだけでは新規顧客を取り込めなくなっていました。そこで、アニメファンの高い熱量に着目し、『ジョジョの奇妙な冒険』をはじめとする人気IPとコラボした限定グッズ付きの体験型企画を展開。これにより、多くのユーザーが「推し活を楽しむ旅行」の手段として新幹線を利用するようになりました。また、フォトスポットで撮影した写真をSNSに投稿するファンが相次ぎ、キャンペーンはSNSでも盛り上がりを見せるとともに、新たな需要の創出を実現しました。関連記事:新幹線利用者を増やす秘訣は「作品に寄り添うこと」年間100件のIPとコラボするJR東海「推し旅」相性のよい「推し」とのコラボで、ファン層のサービス利用意欲を向上ホットペッパービューティーでは、人気SNSクリエイターのP丸様。を起用し、オリジナルのインディーアニメMVを制作しました。彼女がもつ「可愛くなりたい」という世界観と、感情に響く音楽の力を掛け合わせることで、若年層へのサービス訴求を図りました。また、企業メッセージを一方的に発信するのではなく、クリエイターの世界観を尊重しながら、ファンの感性に寄り添うことを重視しています。実施した施策により、ターゲットである若年層女性のサービス利用意欲が高まり、「美容へのモチベーションが上がった」という声を生み出すことに成功しました。関連記事:ファンを巻き込むインタラクティブなタイアップとは?ホットペッパービューティーの新たな挑戦に迫るまとめ推し活マーケティングは、ファンが抱く強い愛着や応援したい気持ちを活用し、商材の認知獲得や購買意欲向上を目指すマーケティング手法です。インターネットやECの普及、マーケティングを意識した商品開発によって、市場で販売される商品は差別化が難しくなっています。そうした中、「推しを応援したい」という心理に訴求する推し活マーケティングは、新たな需要を創出する施策として注目されています。一方、推し活マーケティングを成功させるには、推しへの理解やファン層のツボなどへの理解が欠かせません。ノウハウや経験がなく、推し活マーケティングの実施に不安を抱えている方は、外部企業への相談も検討しましょう。FANDOM AGENTは、推し活マーケティングによる商品・サービスのプロモーションを、企画から運営まで支援しています。推し活マーケティングの実施を検討している方は、ぜひお問い合わせください。