IPマーケティングとは、人気アニメやキャラクター、ゲーム、著名人などのIPをマーケティングに組み込み、ブランドの認知拡大や購買促進を図る手法です。IPの既存ファン層を起点に、従来の広告だけでは届かなかった層へのアプローチが可能である点から、さまざまな企業での注目が高まっています。本記事では、IPマーケティングの概要や注目される理由、主な手法、メリットなどを解説します。IPマーケティングとはIPマーケティングとはアニメのキャラクターやタレントといった、既存のIP(知的財産)を活用して、ブランドや商品の認知度や売上を高めるマーケティング手法です。すでに強固なファン層を持つIPを起点に、ターゲット層に短期間でアプローチできる点が強みです。人気のIP作品とコラボすること自体が競合他社との差別化になるだけでなく、「大好きな推しキャラのコラボだから欲しい」といったファンの情緒的な購買動機を引き出す効果も持ちます。具体的なIPマーケティングの例としては、以下が挙げられます。人気アニメのイラストを施した飲料の限定パッケージ世界的キャラクターを起用した企業のテレビCM人気ゲームとコラボしたアパレルブランドの限定Tシャツ などIPマーケティングが注目される理由IPマーケティングが注目される理由として、ユーザーの広告への忌避感が強まり、従来の広告が見られなくなっていることが挙げられます。ネット上には広告があふれており、ユーザーは無意識でスルーしたり、ブロックアプリで非表示にしたりする傾向があります。広告で自社商品の魅力をアピールするだけでは、ターゲットに認知してもらうことすら難しくなっているのです。そこで、ファンが自発的に見たくなるような広告戦略として、IPマーケティングが重要視されています。一般的なマーケティングとの違い一般的なマーケティングでは、商品やサービスのスペックや価格といった機能的な価値を訴求します。一方、IPマーケティングではキャラクターや作品への愛着・共感というファンの情緒的な心理に訴えかけます。そのため、一般的な広告が認知・理解・購買といったプロセスを経る購買行動を想定するのに対し、IPマーケティングは「好きなIPに関連しているから参加する・購入する」というショートカット的な動線設計が可能です。スペックでの訴求が難しいコモディティ的な市場や、既存の広告での反応が悪化してきている層にアプローチする上で、IP作品を活用したマーケティングは有効です。インフルエンサーマーケティングとの違いインフルエンサーマーケティングとIPマーケティングの違いは、情報発信における主役が「個人」であるか「作品やキャラクター」であるかです。インフルエンサーマーケティングでは、特定の個人に対する信頼や憧れがベースとなります。「この人が薦めるなら買いたい」「同じライフスタイルを送りたい」というファン心理から購買へとつながります。一方、IPマーケティングはアニメ作品やゲームなどの著作物が主役です。「大好きな作品の世界観を体験したい」「限定グッズが欲しい」などの考えから、キャンペーンや商品に付加価値が生まれます。そのため、メイク道具やファッションアイテムなど、リアルな使用感や個人に対しての信頼感が購買の判断が重要になるブランドや商品にはインフルエンサーマーケティングが適しています。一方、特定のブランドや商品に対して、認知度を高めたい・購買動機を創出したい場合には、IPマーケティングがおすすめとなります。IPの種類についてIPの種類は、キャラクターIPや作品IP、ゲームIP、タレントIP、ブランドIPなど多岐にわたります。より大きな分類で考えると、自社でIPを抱える「自社IP」と他社がIPの権利を持っている「他社IP」の2種類に大別できます。種類意味特徴自社IP自社が権利を有している作品やキャラクター幅広い展開が可能で、長期にわたり資産として活用できる他社IPライセンス契約により使用が認められている他社が保有する作品やキャラクター既存のファンコミュニティと認知度を即座に取り入れられる以下の記事ではIPについて詳しく解説しています。IPについて理解を深めたい方は、以下の記事もご覧ください。関連記事:IPとは?PRに活用するメリット・デメリットや成功事例を紹介IPマーケティングの手法IPキャラクターを活用したマーケティングの手法は、広告・CM起用やグッズ展開、店頭コラボなど多岐にわたります。その中でも主に以下の2つ手法が挙げられます。コラボ商品の販売コラボキャンペーンの実施ここでは、各手法の概要や具体的な施策について解説します。その他の手法について詳細に知りたいという方は以下の記事をご覧ください。関連記事:キャラクターコラボとは?施策の種類・メリット・成功事例をわかりやすく解説コラボ商品の販売自社の商品やサービスに人気アニメやキャラクターを掛け合わせ、限定パッケージやオリジナルグッズとして展開する手法です。単にキャラクターのイラストを載せるだけでなく、限定の「描き下ろしデザイン」や、世界観を反映した新商品を開発することで、自社の商品に強力な付加価値が生まれます。普段は自社商品と接点のないIPのファン層を惹きつけ、SNSでの話題化や短期間での売上拡大を狙えるでしょう。具体的には、キャラクターの世界観をイメージした限定セット、有名ゲームのキャラをデザインに取り入れたアパレル用品などが挙げられます。コラボキャンペーンの実施自社の商品やサービスに人気アニメや有名人などのIPを掛け合わせ、購入や来店、SNS拡散を促す施策を期間限定で展開する手法です。単なる広告露出にとどまらず、ファンが「対象商品を買って限定グッズを当てたい」と能動的に動きたくなるような『参加型の体験』をデザインするのが特徴です。たとえば、以下のような施策が挙げられます。対象商品のレシート画像を専用サイトに送ると限定グッズが当たる抽選企画公式LINEでポイントを貯めて応募するマイレージ型のキャンペーン など最近では、SNSのリポストやクイズ回答で、ユーザーが手軽に参加できる企画も流行しています。以下の記事ではIPコラボについて解説しています。IPコラボについて理解を深めたい方は、参考にしてください。関連記事:IPコラボとは?メリット・デメリット、活用事例まで網羅的に解説IPマーケティングのメリットIPマーケティングのメリットとして以下が挙げられます。既存のIPファン層へリーチできる購買動機を創出できるブランドに新たな顧客層を呼び込める既存のIPファン層へリーチできる一般的に、新商品や新サービスを売り出す際は、ゼロから認知を広げて信頼を獲得する必要があり、膨大な時間や広告コストがかかります。しかし、すでに人気のあるアニメやキャラクターなどのIPとコラボすれば、これまで接点がなかった層に対して、効率的に認知拡大と購買意欲の向上を実現できます。「新商品の認知度が低くて売上に悩んでいる」「広告費をかけてもなかなか認知が広がらない」という場合は、IPマーケティングの活用を検討してみましょう。購買動機を創出し競合と差別化できる商品のスペックや価格など機能的な訴求以外の部分で、ユーザーの購買動機を創出できるのもIPマーケティングの利点です。通常、ユーザーは商品の性能や価格を比較して購入を検討します。しかし、似た商品が多い現代では機能の差だけで選んでもらうのは容易ではありません。IPマーケティングを実施することで、「推しを応援したい」「コレクションしたい」というファンの心理に直接アプローチし、競合品にはない独自の購入理由を生み出せます。「機能のよさは伝えているが、実際の購買に結びつかない」「数ある競合品の中から、自社を選ぶべき理由を作りたい」と考えている方にはIPマーケティングがおすすめです。ブランドに新たな顧客層を呼び込めるIPマーケティングのメリットとして、自社ブランドに新たな顧客層を呼び込めることも挙げられます。既存のマーケティング施策は、現在の顧客層の延長線にいる層へのアプローチに偏りがちです。IPマーケティングを実施することで、これまで自社ブランドと接点がなかったIPのファン層に、を新規の顧客として取り込むための導線を設計できます。「既存の施策がマンネリ化して新規顧客が伸び悩んでいる」「新商品はこれまでとは異なる若年層へアプローチしたい」という場合、IPマーケティングを検討してみましょう。IPマーケティングを実施する際の注意点IPマーケティングを実施するにあたって、以下の注意点を理解しておきましょう。自社ブランドとの親和性があるかチェックする他社IPとコラボする際は利用期間や使用範囲などを確認するコラボ先が炎上した場合、施策が中止になる可能性があるコラボ先にもポジティブな影響を与えられる施策を実施するIPマーケティングを成功させるためにも、これらのポイントを意識する必要があります。自社ブランドとの親和性があるかチェックするIPマーケティングは自社製品の世界観やターゲット層にマッチしたIPを起用することで高い効果を発揮します。反対に、自社ブランドとIPのコンセプトがかけ離れていると「IPの話題性や知名度だけに便乗した、プロモーション」と捉えられ、自社のブランドイメージを損なう恐れがあります。そのため、IPマーケティングを実施する際には、自社のユーザーの属性やブランドコンセプトと、IPが持つストーリーやファン層が重なっているかを分析しましょう。両者の強みが重なるような組み合わせを選定することが、IPマーケティングを成功させるうえで欠かせません。他社IPとコラボする際は利用期間や使用範囲などを確認するIPマーケティングを実施する際には、「ライセンス費用」と「契約条件」を細部まで確認することが大切です。IPは法律で厳格に守られており、権利元によって使用できる期間、媒体(Web・店舗)、地域などが細かく定められています。規約を正確に把握しておかないと、契約違反による損害賠償の発生や権利元との関係悪化につながる恐れがあります。IPマーケティングを行う際には、事前に権利元と「いつまで」「どの媒体で」「どの範囲まで」使えるのかを綿密にすり合わせ、契約書で明確にしておくことが必要です。コラボ先が炎上した場合、施策が中止になる可能性がある起用したIPで炎上や不祥事が発生した際、施策の中止を余儀なくされる可能性があります。タレントやキャラクターの炎上は、自社のブランドイメージにまでネガティブな影響が波及するおそれがあるため、万が一の事態が起きたときには、自社を守るためにIPマーケティング施策を急遽取りやめざるを得なくなるのです。IPマーケティングを行う際には、企画段階で契約解除条項を明確に規定するなど、有事の際の対応フローを事前に準備しリスク管理を行うことが重要です。コラボ先にもポジティブな影響を与えられる施策を実施するIPマーケティングは、双方のファンを動かすことで最大の効果を発揮します。IPの世界観を無視した施策は、熱心なファンから「作品を大切にしていない」と反発を招き、自社のブランドや商品への批判にもつながってしまうリスクがあります。施策の企画段階から「コラボ先のIPファンがどう受け取るか」を念頭におき、自社のブランド・商品とキャラクター性が自然と結びつく設計を目指すことが、ファンの支持を生み出す施策において非常に重要です。IPマーケティングの成功事例FANDOM AGENTでは企業のIPマーケティングを支援するサービスを行っています。以下では、IPマーケティングの成功事例を紹介します。ファンの心を掴み、前回比3.6倍のエントリーを獲得NTTドコモのd払いでは、サンリオのキャラクターユニット「はぴだんぶい」とのコラボキャンペーンを行い、これまで接点がなかった若年層のユーザーを獲得しました。NTTドコモはキャッシュレス決済特有の硬いイメージに悩んでおり、利用開始時の心理的ハードルをどう解消するかが課題でした。そこで、サービスの機能面ではなく、ユーザーが思わず使ってみたくなるきっかけを創出するIPマーケティングを実施。具体的には、d払い利用者に抽選で限定ぬいぐるみが当たる、というキャンペーンを行いました。これにより、若年層のファンに対して「好きなキャラクターのキャンペーンだから」というポジティブな利用動機を生み出し、これまでサービスに興味がなかった層との接点を作ることに成功しました。施策によって、前回比3.6倍のエントリーを獲得。SNSでも大きな反響を呼び、サービスやブランドに対してポジティブなイメージを与えることができました。関連記事:前回比3.6倍のエントリーを獲得!ドコモ「d払い」とサンリオ「はぴだんぶい」のコラボが多くのファンの心を掴んだ理由IPタイアップでTVCMだけでは届かない層にもアプローチリクルートの「ホットペッパービューティー」では、人気漫画『こどものおもちゃ』とのタイアップを行い、TVCMだけではリーチできなかった層へアプローチしました。従来はTVCMで機能的な利便性を伝えるマーケティングを実施していたものの、サービス普及に伴い、機能訴求だけではアプローチに限界を感じていました。そのため、機能面だけでなく「好きなもの」を通じて自然にブランド好意を育むIPマーケティングを実施。人気漫画『こどものおもちゃ』とコラボする施策を展開しました。施策ではキャラクターが髪を切ったり、イメチェンしたりするストーリーを届けています。これにより、作品のファンの方々が「自分も髪型を変えてみようかな」「ホットペッパービューティーで予約してみようかな」と自然に思える流れを作りました。実施した施策により、SNSでトレンド入りするなどの大きな反響を呼び、ユーザーにサービス利用を促す効果的な施策となりました。関連記事:ブランド施策の主力へ──“人気に乗っかるだけじゃない”IPタイアップ”でブランド好意を生み出すホットペッパービューティーIPコラボで新規需要の創出を実現JR東海では、観光キャンペーン「推し旅」を展開し、アニメなどのIPと年間約100件のコラボを行うことで、新幹線の新たな旅行需要を創出しました。同社では、コロナ禍の影響によって、それまで主力だったビジネス需要が激減。単なる移動手段としての利便性をアピールするだけでは、新しい顧客を呼び込めなくなってしまったことが大きな課題でした。そこで、アニメファンの熱量に着目し、『ジョジョの奇妙な冒険』などの人気IPとコラボして限定グッズが手に入る体験型企画を実施。多くのユーザーが「推し活を楽しむ旅行」として新幹線を利用するようになりました。施策により、ファンがフォトスポットでの様子をSNSへ投稿するなど、キャンペーンは盛り上がりを見せ、新規需要の創出を実現しました。関連記事:新幹線利用者を増やす秘訣は「作品に寄り添うこと」年間100件のIPとコラボするJR東海「推し旅」まとめIPマーケティングは、アニメ・キャラクター・ゲーム・著名人などのIPが持つ世界観を起点に、機能訴求だけでは届かない層への情緒的な認知拡大・購買動機の創出を図る手法です。FANDOM AGENTでは、IPを活用した商品やサービスのプロモーションを、IPの選定から企画から運営まで一貫して支援しています。IPマーケティングの実施を検討しているものの、IPの選定や具体的な進め方が気になる方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。お問い合わせはこちら