多くのキャッシュレス決済サービスが乱立し、機能面での差別化が難しくなる昨今。株式会社NTTドコモの「d払い」は顧客との新たな接点創出とエンゲージメント強化をめざし、サンリオのキャラクターユニット「はぴだんぶい」とのコラボレーションキャンペーンを実施しました。「d払いを使って、はぴだんぶい×ポインコ限定ぬいぐるみを当てよう!キャンペーン」を開催! | 株式会社NTTドコモのプレスリリース「はぴだんぶい」とドコモとのコラボは、今回が第2弾。キャンペーンは大きな反響を呼び、エントリー数は第1弾と比較して3.6倍を記録しました。このコラボはいかにして、ファンの心を掴み成果へとつなげたのでしょうか?プロジェクトを担当した株式会社NTTドコモ マーケティング推進部の下山莉奈氏に、施策の狙いから成功の要因など、IP活用のリアルな舞台裏を伺いました。感情的価値で決済サービスの硬いイメージを一新したい伊藤(株式会社Minto ファンダムエージェント本部):はじめに、下山さんの部署でのミッションや、今回の施策における役割について教えてください。下山(株式会社NTTドコモ マーケティング推進部 プロモーション企画担当):私の所属するチームの主なミッションは、IPとのコラボレーションを戦略的な柱として、お客様との接点を創出しエンゲージメントを最大化させていくことです。そして実施した施策のデータをもとに、当社のLTV(顧客生涯価値)向上をめざすところまでを担当しています。伊藤:IPコラボが戦略の柱なのですね。下山さんのチームは、ドコモさま全体のIPコラボに関わっているのでしょうか?下山:私たちはドコモが提供するサービスの中でもいわゆる「スマートライフ」に関するものを主に担当しています。それ以外の通信回線や料金プランといったサービスは別のチームが担当するのですが、実際にはその領域を担当することもあり、様々なIPコラボ施策を実施しています。伊藤:なるほど。第1弾のキャンペーンではID連携、今回はd払いを対象としたキャンペーンを実施されていましたが、施策を実施するにあたってどのような課題感や狙いがあったのですか?下山:d払いはすでに多くのお客様にご利用いただいていますが、若年層を中心に十分なアプローチができていないという課題がありました。加えて、キャッシュレス決済はどうしても「硬い」イメージを持たれるのと、お客様からすると「機能はどれも同じ」と感じやすいサービスでもあります。第1弾のID連携もそうですが、一度使ってみればその利便性を実感いただける一方で、最初のひと手間をなかなか越えることができないサービスです。そのハードルを、IPとのコラボレーションによって越えたい。ワクワク感や楽しさといった感情的な価値を提供することで、d払いを利用するきっかけを作りたいと考えたんです。「はぴだんぶい」とのコラボに込めた想い伊藤:数あるIPの中から、サンリオ様の「はぴだんぶい」を起用した理由を改めて教えてください。下山:サンリオさまのキャラクターは非常に幅広い世代に愛されており、ブランドとして絶大な力をお持ちです。また、ファンの方々はSNSとの親和性が高く、拡散力が非常に高いことも大きな魅力でした。その中で「はぴだんぶい」を選んだ理由は、その名前の由来にもなっている「ハッピーになりたい男子たち、V字回復をねらう」というユーモアなコンセプトにあります。この親しみやすいコンセプトが、d払いやキャッシュレス決済の硬いイメージと組み合わさることで、良い化学反応が起きるのではないかと思いました。伊藤:キャラクターの世界観が、サービスのブランドイメージをポジティブに変化させてくれると考えたのですね。下山:「はぴだんぶい」は男の子のキャラクターユニットであり、女性だけでなく男性からも愛される存在です。施策を実施してみると、私たちが想像する以上に幅広い年齢層のファンがいるのだと気づきました。その層にアプローチできたという意味で、「はぴだんぶい」とのコラボは大正解だったと思っています。徹底的にこだわったぬいぐるみ制作の裏側伊藤:今回のキャンペーンを実施する上で、特にこだわったポイントはどこでしたか?下山:大きく二つあります。一つは、キャンペーン限定のぬいぐるみの抽選条件を「d払いで1,000円利用することで参加できる、参加しやすい設計」にしたことです。そしてもう一つは、サンリオファンの方々に「絶対に欲しい」と思っていただけるノベルティを作ること。伊藤:ぬいぐるみは大きな反響を呼びましたね。第1弾からの改善点として、私たちからは「ノベルティを強化しましょう」と提案させていただきました。通常、企画の提案は複数のアイディアを用意するものですが、ノベルティ案に関してはぬいぐるみ一択で、しかも大きいサイズにしようとお伝えしたのですよね。下山:Mintoさまからのご提案を受けて、私たちもサンリオファンの方が一番欲しいものは何かを考えたとき、やはりぬいぐるみだという結論に至りました。そこから、単にぬいぐるみというだけでなく、大きさや手触りの質感、そして「ここでしか手に入らない」というレア感をとことん追求することに注力しました。伊藤:そこで今回描き下ろした、ドコモさまのオリジナルキャラクター「ポインコ」の着ぐるみを「はぴだんぶい」のメンバーが着ているイラストを、ぬいぐるみ化することにしたんですよね。下山:ここはもっともこだわった部分であり、この施策でもっとも苦労した部分の一つです。サンリオ様は、一人ひとりのキャラクターの個性や世界観を本当に大切にされていて、その世界観は絶対に守らなければなりません。一方で、「ポインコ」にもまた独自の世界観があり、兄と弟でトサカの本数、体格、性格が違うなど、キャラクター設定も細かく決まっています。両方の世界観を崩さず、ファンの方々に喜んでいただけるクオリティに仕上げるために、Mintoさまやサンリオさまと何度もデザインの調整を重ねました。伊藤:はぴだんぶいメンバーの細かいデザインチェックはもちろん、「ポインコ」のくちばしやトサカの形状、キャラクターごとの表情の違いなど、本当に細かい部分まで一緒に確認させていただきました。平面のデザインでは気にならなかった部分、例えば「ポインコの着ぐるみからキャラクターの耳が飛び出していてもいいのか」といった細部まで確認が必要でした。生地の素材を一つひとつ並べて選んだのも、今となっては良い思い出です。生地を選ぶ打ち合わせだけで、何時間もかかりました(笑)。そのこだわりのおかげで、本当に良いものができたと思っています。下山:そうやって完成したぬいぐるみの魅力を、Webサイトやバナーでいかに伝えるかにも知恵を絞りましたね。サイズ感を伝えるために実物のぬいぐるみを実際に持った写真を使うなど、バナーの表現方法についてもMintoさまにご協力いただきました。伊藤:ぬいぐるみの写真をバナーに使いたかったのですが、ぬいぐるみ自体の制作スケジュールが追いついておらず、ドコモさま・サンリオさまにご協力いただきながらなんとかバナーを制作しました(笑)結果、ぬいぐるみ写真を用いたクリエイティブは非常に効果的だったと思います。ノベルティの価値をしっかりと訴求できたことが多くの方の参加動機につながり、成功の大きな要因になったのではないでしょうか。「d払いを使って、はぴだんぶい×ポインコ限定ぬいぐるみを当てよう!キャンペーン」を開催! | 株式会社NTTドコモのプレスリリースIPが生む情緒的なつながりがブランドにもたらす価値伊藤:施策の手応えや反響はどうでしたか?下山:具体的な数字で言うと、エントリー件数は第1弾の施策と比較して3.6倍にまで伸びました。前回のコラボも十分な成果を生んだ中でのこの数字なので、大成功と言えます。SNS上でもお客様からの好意的な声を多く目にすることができ、目的としていたエンゲージメントの強化は間違いなく達成できたと実感しています。d払いというサービス単体だけでなく、「ドコモとサンリオがコラボをしている」という文脈で、ドコモ全体のブランドイメージ向上にも貢献できたのではないでしょうか。一部の指標では、私たちの期待を上回る結果も出ており、お客様とのエンゲージメントをしっかりと強化できた、確かな手応えのある良い施策だったと評価しています。伊藤:今回の成功を通じて、改めてIPを活用するビジネス上のメリットはどこにあると思いますか?下山:IP活用がもたらす最大のメリットは大きく二つあると考えています。一つ目は、「新規顧客の獲得」です。IPが持つ力をお借りすることで、これまでサービスに興味がなかった層との接点を効果的に作ることができます。ファンの方々に対して、サービスの機能ではなく「好きなキャラクターのキャンペーンだから」という動機を生み、サービスに触れるきっかけを作れるからです。二つ目は「ブランドイメージの変化」です。IP活用がキャッシュバックのような施策と根本的に違うのは、感情へのアプローチができる点にあります。ワクワク感や楽しさを起点に参加していただくことで、サービスやブランドに対してポジティブなイメージ、つまり愛着を育むことができます。伊藤:新規顧客の獲得効率という点に着目すると、IPよりも直接的なインセンティブを付与する施策のほうが分かりやすく、効果検証もしやすいですよね。その中で、IPコラボのような感情面での態度変容を狙った施策に取り組む重要性を、下山さんはどう考えますか?下山:たしかに、IPコラボ施策はすぐに結果が出るものではなく、短期的な視点だけでは評価が難しいという特性があります。私たちが強調したいのは、長期的な視点で見たIPコラボの価値です。当社が実施した調査では、ブランドへの好意度が高まることで将来的にドコモのサービスを選んでいただける確率が上がるという結果が出ています。今回のような施策を通じて生まれたブランドへの愛着やエンゲージメントが、お客様のLTVを向上させる重要な基盤になっていく。5年後、10年後の継続率やドコモ経済圏全体のことを考えると、感情的なつながりを築く方が最終的なメリットは大きい。だから、私たちはIPコラボに取り組み続けています。またIPコラボはどの企業にとってもまだ手探りの部分が大きく、未知の領域です。ですから、今はさまざまなチャレンジをしながら知見を溜めているフェーズだと捉えています。伊藤:未来への投資という要素も多く含んだ取り組みなのですね。今後のドコモさまにおけるIPコラボの展望も聞かせてください。下山:今後も引き続きIPを活用しながら、お客様と情緒的な結びつきを深めていきたいです。IPコラボを通じてお客様の趣味やライフスタイルに寄り添っていきながら、「なくてはならないパートナー」だと思っていただけるようになる。そして、d払いなど個々のサービスにとどまらず、ドコモ全体の価値向上をめざしていきたいと思います。今回の施策を通して改めて感じたのは、IPが持つファンの熱狂をマーケティングに取り込み、いかにお客様の心を動かせるかが重要だということです。今後は、ファンの方々が繋がり、熱量を高め合っていく『ファンダム』というコミュニティの力にも、より深く寄り添っていきたいと考えています。お客様が情熱を注ぐ場所に伴走し、コミュニティ全体の熱を共に盛り上げていく。そうした体験の積み重ねが、結果としてドコモを『なくてはならないパートナー』へと変えていくはずです。短期的な売上だけでなく、こうしたファンダムとの情緒的な結びつきを長期的な成長基盤に据えて、これからもお客様の心を動かせるような施策を追求していきたいと思っています。※「d払い」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。